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梅田 浩司; 浅森 浩一; 小堀 和雄; 濱 友紀
no journal, ,
2011年東北地方太平洋沖地震の発生の直後から福島県浜通りから茨城県北部にかけての地域では、地殻内での地震活動が活発化するとともに、地下水の湧出量や水質の変化等が認められた。総合エネルギー調査会地層処分技術WGの中間報告では、地層処分の技術的信頼性向上に向けた取組として「東北地方太平洋沖地震後に誘発された地震や湧水に関する調査事例の蓄積」があげられている。本研究では、震源域の地殻構造および群発地震のメカニズムを把握するため、地磁気・地電流法による二次元比抵抗構造解析と地下水溶存ガスの希ガス同位体測定等を実施した。その結果、震源域直下から地下20km付近にわたって顕著な低比抵抗体が存在すること、この地下水にはマントル起源ヘリウムの寄与が小さいこと等が明らかになった。
笹尾 英嗣; 石橋 正祐紀; 湯口 貴史
no journal, ,
花崗岩などの結晶質岩では割れ目が地下水流動や物質移動の経路となるため、高レベル放射性廃棄物の地層処分に際しては、その分布を知ることが重要である。また花崗岩の地質学的セッティングや形成プロセスの違いは、割れ目分布に影響を与える。このため、本論では、岐阜県東濃地方に位置する土岐花崗岩中の割れ目の形成および充填の履歴を、マグマ定置後の地史を基に検討した。白亜紀後期に貫入した土岐花崗岩は、定置から250C程度までは、2000万年の間に急速に冷却され、その後、50003000万年をかけて地表に露出した。割れ目は脆性領域(300400C以下の温度領域)で形成される。このため、割れ目充填鉱物は花崗岩がその温度以下に冷却されて以降に形成された。割れ目充填鉱物として、熱水性の緑泥石、雲母粘土鉱物、方解石、および天水起源の方解石が認められる。緑泥石の形成温度は一般に200300C程度であり、熱水性の充填鉱物はこの温度領域で形成されたと考えられる。天水起源の方解石は、天水が地下へ浸透する過程で形成され、その時期としては瑞浪層群堆積時(約20Ma)から現在までの期間である。
末岡 茂; 島田 耕史; 石丸 恒存; 丹羽 正和; 安江 健一; 梅田 浩司; 檀原 徹*; 岩野 英樹*
no journal, ,
上載地層のない断層の活動年代の推定には、地球年代学的なアプローチが試みられてきたが、未だに決定的な手法は確立されていない。本研究では、高速増殖原型炉もんじゅ敷地内の江若花崗岩中に分布する上載地層のない破砕帯について、フィッション・トラック法(FT法)を用いて冷却史を推定することで、活動年代の推定を試みた。もんじゅ敷地内で観察される破砕帯は、黒雲母粒子の塑性変形を伴っており、高温環境下で生じた変形であると考えられる。黒雲母の塑性変形の温度領域は、アパタイトのFT年代がリセットされる温度領域と一致するため、アパタイトFT法から破砕帯の活動年代の制約が期待できる。講演当日は、アパタイトFT解析結果の速報を報告予定である。
末岡 茂; 田上 高広*
no journal, ,
日本列島の地殻における応力・歪み特性の理解や、弾性変形と非弾性変形の分離のためには、様々な時間スケールにおける歪み速度の比較・検討がひとつの鍵となる。本研究では、地質学的時間スケールにおける日本列島規模での鉛直変位速度の把握を目的に、日本列島の基盤岩類について報告されている熱年代のコンパイルを実施した。コンパイルはフィッション・トラック年代を中心に行っており、文献名, 掲載誌, 地域, 地質, 試料名, 緯度, 経度, 標高, アパタイトFT年代とその誤差、ジルコンFT年代とその誤差、などについて整理した。2015年1月現在、未公表データを含む70編以上の文献から、アパタイトFT年代350点以上、ジルコンFT年代600点以上を取りまとめたため、これらの成果について報告する。
渡部 豪; 奥山 哲; 浅森 浩一
no journal, ,
九州地方は、日本列島の中でも特異な地殻変動が認められている地域である。特に、北緯32付近ではGPS速度場の東西成分に約5mm/yr程度の速度ギャップが存在するとともに、M5-6クラスの地震が発生していることがこれまでの研究により指摘されている。しかし、同領域にはこれに対応する活断層が認められておらず、どのようなひずみ蓄積過程を経て地震として解消されるのか等、明らかにされていない点が多い。また、九州地方には第四紀火山が多数存在するために、高温による非弾性的な地殻変動も推測される。このため、地殻ひずみの収支を考えるにあたり、地殻・マントルの不均質に起因する非弾性的挙動が地殻変動場に与える影響を定量的に見積もることも重要であると考えられる。以上の背景に基づき、本研究では、九州地方で進行している地殻変動の要因を明らかにするため、GPS速度データを用いて九州地方におけるひずみ速度場の推定を行った。
宗本 隆志; 大森 一秋; 岩月 輝希
no journal, ,
水-鉱物反応は地質環境における物質移動特性に影響を及ぼす重要な地球科学プロセスの一つである。水-鉱物反応による元素の移動性は水質条件によって複雑に変化し、鉱物の溶解/沈殿、酸化/還元、吸着/脱着といった化学反応によって支配されるため、それらに関わる調査解析手法の開発は、地球表層環境における物質移動プロセスを明らかにするうえで重要な研究課題の一つである。特に、希土類元素(YREE: La-Lu, Y)の鉱物中への分配挙動は環境条件の変化にしたがって、YREE存在度パターンとして保存されるため、地球化学プロセスを把握するための指標として利用されてきた。本研究では深部花崗岩中の地下水と二次鉱物を対象に地下水の水質条件の変化に伴うYREEの分配挙動について把握し、地質環境における物質移動プロセスを明らかにするための調査解析手法の開発を目指す。
池田 久士*; 柴田 健二; 村上 拓馬; 國分 陽子; 勝田 長貴*
no journal, ,
アジア大陸内陸部は、全球規模の気候変動に対して地球上で最も鋭敏に応答する地域であり、陸域環境の応答を理解する上で格好の情報を提供する。本研究では、過去3.3万年の堆積記録を有するバイカル湖湖底堆積物に関して、その全有機炭素・全窒素、ウランやひ素等の微量元素、生物起源シリカを定量分析し、古環境変動の復元を行なった。その結果、次のような結果を得た。(1)大陸内の気候システムは、約6000年前で氷期から間氷期の状態へシフトし、それ以前は温暖湿潤・寒冷乾燥、それ以降は温暖乾燥・寒冷湿潤変動で特徴づけられる。(2)バイカル湖周辺の生物生産量が約6000年前にピークに達し、それに伴いバイカル湖の深層水は還元化した。(3)ヤンガードリアス期やハインリッヒイベントといった最終氷期の寒冷化に対応する時期に、バイカル湖周辺地域で氷河の発達を示す氷河運搬砕屑性ドロマイト層と、セレンガ川流域の氷河融解水に起因するウラン濃度の上昇が認められた。
葉田野 希*; 吉田 孝紀*; 笹尾 英嗣; 安江 健一; 足立 佳子*; 岩野 英樹*; 檀原 徹*
no journal, ,
土岐口陶土層は東海地域から岐阜県南東部の小盆地に堆積した、主に泥質岩からなる中部中新統であり、近年、土岐口陶土層に古土壌層が発達することが明らかにされ、当時の古風化環境の解明がなされている。本論では、土岐口陶土層の砂質堆積物に含まれる砕屑性ジルコンのU-Pb年代と泥岩の微量元素組成(特に希土類元素)を測定し、その起源となる岩石の多様性について検討した。その結果、泥質堆積物の微量元素組成、特に希土類元素の存在度パターンは、Eu異常が不鮮明なやや未分化な玄武岩類・安山岩類と類似するパターンや、Eu異常の鮮明な分化した火成岩類に類似するパターンまで様々なバリエーションが認められた。また、年代値としては12-15Maと70-90Maを示す粒子群が多く、200, 1700, 1800, 1900, 2900Maの年代を示す粒子も認められた。今回の検討結果から、供給源岩の組合せは頻繁に変化した可能性が示唆され、内陸堆積盆地では堆積場の位置や層準によって、堆積物中に記録される後背地の源岩構成が異なるため、綿密な供給源解析が必要であると考えられた。
大谷 具幸*; 横井 洸亮*; 岡崎 一成*; 西村 勇輝*; 小嶋 智*; 窪島 光志*; 笹尾 英嗣
no journal, ,
断層近傍におけるマイクロクラックの方位分布の特徴を明らかにすることを目的に、月吉断層を貫くMIU-3号孔コアを用いてマイクロクラックの方位測定を行った。本研究では、月吉断層上盤から4試料、下盤から3試料を採取し、直交する3平面で岩石薄片を作成し、花崗岩に含まれる石英を対象としてマイクロクラックの方位測定を行った。マイクロクラックの観察結果より、ヒールドマイクロクラックはシールドマイクロクラックより前に形成されたと考えられる。また、方位測定の結果より、断層近傍のみ中角傾斜が出現することから、天然においても断層近傍でマイクロクラックの方位分布が変化することが明らかとなった。シールドマイクロクラックはヒールドマイクロクラックと比べて中角傾斜の分布範囲が小さい。これは、ヒールドマイクロクラックの方が早期に形成されたことから、花崗岩が非破壊の状態で形成されたことにより広い範囲に形成されたためと考えられる。一方で、シールドマイクロクラックは断層が既に形成されて破壊とシーリングを繰り返す中で形成されたために断層近傍が弱化しており形成範囲が小さくなったと推定される。
香取 拓馬*; 小林 健太*; 安江 健一; 丹羽 正和; 小松 哲也; 細矢 卓志*; 笹尾 英嗣
no journal, ,
百万年以上の時間スケールの地形・地質モデルの構築において重要となる断層の発達史に関する調査技術の開発に資するため、東濃地域の屏風山断層を対象とした断層岩の構造解析および化学分析を行った。露頭および薄片観察の結果、断層破砕帯は複数の種類の断層岩に区分され、断層岩によって異なる運動センスを示すことが分かった。粉末X線回折分析による変質鉱物の分布や、蛍光X線分析による化学組成も断層岩ごとに明瞭な違いが見られる。以上の観察および分析に基づくと、断層破砕帯には異なる深度・応力場における複数のステージの活動が保存されている可能性が高い。
島田 耕史
no journal, ,
本報告では、もんじゅの敷地内破砕帯の追加地質調査の報告内容のうち、もんじゅ敷地内に見られる江若花崗岩中に発達する小規模破砕帯の走向が示す複数の系統について、客観性の向上により説明をわかりやすくすることを目的として試行している方位統計学的検討結果と若干の構造地質学的考察をのべる。データは、8個のフォン-ミーゼス分布の混合であると算出された。全体の方位密度分布曲線は2個のピークを示す。これまで自明とした主要な「2系統」は、方位集中度の方位統計学的検討によっても客観的に根拠づけられた。2系統の破砕帯は、系は右ずれ、-3系は左ずれを主体とする。両破砕帯内には黒雲母の塑性変形が普遍的に観察されるので、形成温度条件は比較的高温である。両破砕帯は方位統計学的に同程度に発達しており、N30E方向を挟む斜方対称的な分布をなし、互いに切断する関係である。これらのことから両破砕帯は共役系をなすと解釈される。この変形は、第四紀後期の東西短縮の状況とは整合しない。これらの状況は、両破砕帯が、現在の地表付近の環境で形成されたものではなく、古い地質構造であることを示している。
Martin, A. J.*; 浅森 浩一; 石丸 恒存; 梅田 浩司
no journal, ,
変動地形の明瞭でない活断層、いわゆる未知の活断層の存在を把握するための手法は、概要調査等において必要不可欠な技術である。これまで未知の活断層の存在の可能性については、すでに認識されている活断層の分布密度から評価されてきた。本研究では、2000年鳥取県西部地震の余震域を事例として、活断層の分布密度に加えて、未知の活断層に関連する複数の地球科学的情報(断層ガスのヘリウム同位体比や地殻応力の主軸方向)を、ベイズ推論により考慮した確率分布を計算した。
清水 麻由子; 谷川 亘*; 濱田 洋平*; 亀田 純*; 山口 飛鳥*; 木村 学*
no journal, ,
2011年に発生した東北地方太平洋沖地震では、日本海溝の海溝軸付近にまでプレート境界断層のすべりが及び、巨大津波を引き起こした。日本海溝に沈み込む遠洋性堆積物は、沈み込みに伴いその一部が弱面となり地震挙動を決定するものと考えられる。未変形の沈み込み堆積物から弱面が発達する過程が何がコントロールしているのかは明らかになっていないが、沈み込み堆積物のせん断強度と摩擦の速度依存性の深度方向のコントラストが関与している可能性がある。また透水係数も、沈み込みに伴う脱水と間隙減少による異常間隙水圧の発生過程に影響を与えることから、強度の深度方向の分布に影響を与える重要な因子である。そこで本研究では、日本海溝のインプットサイトであるDSDP Leg.56 Site 436から得られたコアサンプルを用いて、室内実験により摩擦強度と流体移動特性を測定し、強度と透水係数の深度分布を推定した。発表では、実験の結果に基づき沈み込みに伴う弱面の発達について議論する。
堅田 元喜; Grote, R.*; Zeeman, M. J.*; Mauder, M.*; 太田 雅和; Lu, H.*; Kiese, R.*
no journal, ,
アルプスの生態系は、土壌呼吸が純光合成量を上回る寒冷期には炭素の発生源となることがわかっているが、積雪の役割と気候温暖化に伴う積雪期間の短縮化へのこれらの生態系の応答は明らかではない。本研究では、無積雪期間の草地動態を調べるために、多層大気-土壌-植生モデル(SOLVEG)に詳細な雪物理スキーム、植物生長スキーム、および土壌微生物スキームを結合した。このモデルを、降雪量が極めて少なかった年のドイツの準アルプス草地の観測サイトに適用した。改良したモデルは、地表面熱収支やCOフラックス、土壌温度・含水量、および地上部バイオマスの時間変化を再現した。シミュレーションおよび観測結果では、低標高では草本が冬眠することなく光合成活動を続けていることが示された。同時に、霜害による枯死が進むために、結果的には無積雪期間の光合成による積算炭素同化量は土壌呼吸とほぼ同等であった。しかしながら、温暖化環境では霜害を避けられるために、冬から春にかけて草地がCOの強い吸収源となることがわかった。将来の気候変動によって、世界に分布する山岳草地での冬季の炭素吸収量の重要性が増す可能性がある。
西澤 幸康; 吉田 真美; 眞田 幸尚; 鳥居 建男
no journal, ,
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に起因して福島第一原子力発電所事故が発生し、大気中に多量の放射性物質が放出された。比較的半減期の長いCsやCsの他にもI, Te等の多数の短半減期核種が放出された。発電所1-3号機からの核種毎の推定放出量が報告されているが、これらの短半減期核種は放出源である原子炉により大きく異なることが知られている。また、CsとCsの放射能比も発電所によりでわずかに異なることから、Cs/Cs比は放射性物質の放出原子炉を特定するための貴重な情報源が得られると考えられる。原子力機構では放射性セシウムの放出源に近い発電所から3km圏内においてLaBr(Ce)検出器を搭載した無人ヘリコプターを用いて、上空から高分解能の線スペクトルを測定した。LaBr(Ce)検出器はエネルギー分解能(FWHM)が優れていることから、多くの核種の弁別が可能である。また、無人ヘリコプターによる面的な測定により得られたデータ数が極めて多い。本発表では、無人ヘリコプターの測定データをスペクトル解析することで新たに明らかとなった放射性セシウム比率の分布を報告する。
鳥居 建男; 眞田 幸尚; 山田 勉; 織田 忠; 村岡 浩治*; 佐藤 昌之*; 渡邊 明*; 久米 恭*; 長谷川 崇*; 杉田 武志*
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雷活動により高エネルギー放射線が様々なフィールドで観測されている。その放射源を調査するために、放射能ゾンデ, 航空機、及び地上観測により放射線の測定を行った。ゾンデ観測では2つのGM管を用いて雷活動中に放球した。その結果、雷雲中の高度5から7.5km付近で2桁程度の放射線計数率の上昇が観測された。また、航空機に大型NaI検出器を搭載して夏季と冬季に雷雲上空を飛行した。さらに、冬季には日本海沿岸で地上観測を行い、高エネルギー放射線を観測した。これらの測定結果について報告する。
渡辺 貴善; 大山 卓也; 石井 康雄; 新里 忠史; 阿部 寛信; 三田地 勝昭; 佐々木 祥人; 北村 哲浩
no journal, ,
福島県阿武隈山地からの放射性セシウム流出量の評価を目的に、同山地内の治山ダムに堆積した土砂量を3Dレーザースキャナーにより計測した。対象の治山ダムは、阿武隈山地中央部に位置する河谷にあり、流域は広葉樹とスギの針広混交林である。2013年8月29日と2014年12月3日に、3Dレーザースキャナーを用いてダム堤体の上流側の地表面を計測した。得られた高密度な点群データから地表面をモデル化し、2時期の地表面モデルの高低差を求めることにより、堆積土砂量の変化を算出した。計測の結果、15か月間での堆積土砂の増加量は0.5mであった。治山ダムの流域面積が2.1haであることから、治山ダムの流域における侵食深は約0.02mm/年となる。塚本(1998)による草地・林地の地被別年侵食量1010mm/年とほぼ同程度の結果であった。また、本調査地における深度5cmまでの土砂の放射能濃度から、15か月間に治山ダム上流の河谷から流出した放射性セシウムはCs-137: 200MBq、Cs-134: 80MBq程度と推定された。
藤原 了*; 桐田 史生; 河路 薫*; 山崎 敏彦; 瓜生 満; 安田 昌宏
no journal, ,
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の発生以降、同年4月11日に発生した福島県浜通りの地震(Mj7.0)の他、茨城県及び福島県の県境付近で発生した内陸地殻内地震によって、茨城県沿岸域の幾つかの地震観測点において長周期成分を有する地震動が観測された。3.11地震以前、茨城県沿岸域については目立った内陸地殻内地震が発生しておらず、これらの地震による長周期地震動の発生要因や、その地震動特性については未知の領域が多い。したがって、これら内陸地殻内地震によって観測された地震観測記録を用いて長周期地震動の発生要因やその地震動特性を的確に把握することは、茨城県沿岸域における地震動評価を高度化させることができ、この地域における建家及び地盤の合理的な耐震安全性評価に繋がるものである。本研究においては長周期地震動の発生要因として茨城県沿岸域の基盤構造に着目し、茨城県沿岸域における三次元地盤構造モデルを作成した上で、長周期地震動の発生要因が地震観測点周辺の基盤構造に由来することと、三次元地盤構造モデルによる地震動評価の妥当性を確認した。
亀高 正男*; 酒井 亨*; 稲田 徳之*; 田中 由美子*; 岡崎 和彦*; 鈴木 悠爾*; 青木 和弘; 田中 義浩; 瀬下 和芳; 中山 一彦
no journal, ,
4.11地震による活動区間と非活動区間の違いに着目した調査・研究を進めており、今回の発表では塩ノ平断層の露頭調査結果を中心に報告する。今回の調査では、これらの露頭のうち活動区間の3地点(清道川、塩ノ平、別当)、及び地表地震断層の南端から約300m南方に位置する断層露頭1ヶ所(滑石南)において、露頭の観察・記載、研磨片・薄片観察、X線回折分析等を行った。その結果、清道川と別当では結晶片岩中に幅数十cmの厚い断層ガウジを伴う破砕帯が発達し、4.11地震の断層面はこれらのガウジを切っていることが観察された。塩ノ平では結晶片岩起源の破砕帯が新第三系とみられる砂岩と断層で接する露頭がみられる。ここでは4.11地震で形成された断層面に沿って、幅数cmの薄い断層ガウジが認められた。滑石南では結晶片岩中の断層露頭が観察されたが、破砕帯の規模は他地点よりも小さく、断層ガウジの幅も数cm程度と薄かった。X線回折分析の結果からは、清道川, 塩ノ平及び別当の断層ガウジにはスメクタイトがある程度含まれているのに対して、滑石南の断層ガウジにはスメクタイトが含まれていないことが判明した。
青木 和弘; 瀬下 和芳; 田中 義浩; 亀高 正男*; 酒井 亨*; 岡崎 和彦*; 嶋本 利彦*
no journal, ,
4.11地震による活動区間と非活動区間との違いに注目した調査・研究を進めており、今回の発表では、活動区間である塩ノ平断層の地表露頭から採取した断層ガウジを用いた低速・高速摩擦試験結果について報告する。試験機は、中国地震局地質研究所が所有する回転剪断式低速・高速摩擦試験機を用いた。試料は、塩ノ平断層のうち、別当露頭で確認された結晶片岩中の幅数十cmの厚い断層ガウジから採取したもの、塩ノ平露頭で確認された砂岩と結晶片岩の接する断層面に沿って確認された断層ガウジより採取した。試験条件は、断層ガウジ試料の初期圧密を15MPa、垂直応力1.02.0MPa、すべり速度20mm/s2.1m/sとし、低速・高速摩擦試験を実施した。また、無水及び含水条件下で実施し、更に、摩擦の速度依存性についても求めた。試験結果からは、両露頭の断層ガウジは、無水条件下で0.60.8程度の高い摩擦係数を示すのに対して、含水条件下では0.10.2の極めて低い摩擦係数を示した。また、断層ガウジの摩擦係数は速度の増加とともにわずかに増加し、高速ほど摩擦が大きくなる「速度強化」の性質をもつことが明らかになった。